転職を重ねながら仕事人生は完走。定年後は方向性が少し見えてきたものの、まだまだ模索中の日々

投稿日: カテゴリー: 先輩に学ぶ
先輩事例 0003 秋森さん

先輩インタビュー:0003 その他:研究員

 

秋森 陽子(あきもり ようこ)さん

「働くこと」や「キャリア」をテーマに研究活動中

 

■ 今は何をしてらっしゃいますか? 現在のお仕事を教えてください。 

「働くこと」や「キャリア」をテーマに、関連ワークショップに参加したり、リサーチなどの研究活動をしています。「働き方」というよりも、個人が持っている「働く力」、例えば知識、スキル、マインドを高めながらどう仕事人生を歩んでいくか、というようなテーマです。母校の大学の同窓会理事も務めています。理事の仕事はボランティアですが、同窓会会報の編集、イベントの企画、運営など、月に何度も打ち合わせを重ねる必要があり、けっこうやることがあります。また、昭和女子大の現代ビジネス研究所の研究員でもあります。

 

■ 退職前はどんな仕事をされていましたか?

これまで転職を重ねて、計6社に勤務しました。すべて外資系企業でした。
大学時代、どうしても専業主婦になることがイメージできず、ずっと仕事をしていきたいと思い、そういう視点で就職先を探しました。当時は就職難の時代でしたが英語を使った仕事をしたいと考え、日米合併の医薬品メーカーの工場長の秘書からキャリアをスタートしました。

 

その後、国連の研究機関である国連大学本部に転職、ここでも秘書として働きました。ここには9年間勤めましたが、ことばの壁と公的機関になじめず、やはりビジネスの世界で働きたいと米国系の会計事務所に再度転職、人材開発部門でサポート業務に従事しました。ここで人材開発業務に携わる中、せっかくなら人事や経営について勉強しようと青山学院大学の修士課程に入学、2年目は仕事を辞めて勉強に専念してMBAを取得しました。その後、デンマークの製薬会社で人事の仕事に就き、それからは欧州のラグジュアリーブランド企業で人事のマネジメント業務に携わりました。

 

■ 仕事を辞めたのはいつですか?

60歳、定年退職です。65歳までの再雇用制度はありましたが、勤務先の体制として再雇用者向けの役割が当時はなく、60歳以前と同じポジションで仕事を続ける仕組みでした。それまでと同じエネルギーレベルで仕事ができるのは継続しても1年かなと感じていたので継続を申し出ませんでした。それよりも仕事は充分してきたから、もういいかな。後はゆっくりしたいなと思いましたので、すっぱり辞めることにしました。仕事に対してはやり切った感があります。

 

■ なぜ、今の道を選んだのでしょうか?

これまで人事の仕事をしてきて、キャリアは個人の想いだけではだめで「組織」としてサポートしていくことも大事だと感じていたので、組織の中での個人のキャリアについて外資系の人事での経験を基に考えをまとめていこうと思ったのがきっかけです。

 

■ セカンドキャリアの準備を始めたのはいつ頃ですか? 考え始めたのはいつ? 

在職中はまったく考えていませんでした。定年後からですね。ただ、老後資金のことは考えていました。幸い男女の処遇に差がない外資だったため、 経済的には年金と貯金でなんとかなるだろうと思っていました。

 

■ これまでに試行錯誤した時はありましたか?(苦労話やこうしておけばよかったとか)仕事を辞めて感じたことは?

仕事を辞めて最初の3か月は喪失感というか、どこにも属していない疎外感を味わいました。会社での仕事が充実していてやりきった感がある分、喪失感は大きかったのだと思います。ちょうど冬の時期だったので、余計に鬱々としていました。

その後、このままではまずい、何かやることを見つけなければと、日本語講師養成講座に半年ほど週に2回通い、運転免許をもっていなかったので教習所にも通いました。とりあえず「やることがある」という状況をつくったという状況でした。日本語教育の検定試験を受けたり、自宅を少し改装して書斎スペースを作るなどして1年ほど過ぎた頃に、母校の同窓会理事のお話をいただきました。現代ビジネス研究所のことを知ったのもこの頃です。

 

■ 今、抱えている問題は?

いろいろやろうと思っているのですが、締め切りがあるわけではないので、どうしても後ろ倒しになってしまいます。リタイアした人間のペースだなと、我ながら反省し、もっと自分をドライブしていくことが必要だと痛感しています。なかなか簡単ではありませんが…(笑)

これまで仕事一筋で生きてきて「趣味」と呼べるものがないので、何か新しいことを見つけていきたいとは思ってはいるのですが、同窓会理事の活動もあり「毎週何曜日に通う」という習い事がしにくいところがちょっと残念ではあります。でも、趣味は60代後半あるいは70代になってからでもいいかなとも思います。

 

■ 今の生活に満足していますか?

不満はありません。ほぼほぼ満足しています。強いて言えば、何か具体的な形にできていないところが気になるところではあります。

 

■ 後輩にアドバイスするとしたら?

いろいろ転職を重ねて多様な経験をして来ましたが、とても貴重な経験をさせてもらったと思います。そういった意味では、大学院に通ったときにつくづく感じたのですが、会社の中だけでなく社外に知り合いや友人を持つことがとても大事です。違う世界を知るという意味で意識すべきことだと思います。

もうひとつは、現役時代からマイプロジェクトを持つことです。会社の中の仕事は目標から時間軸が設定されますがひとりになるとメリハリがなくなります。50代くらいからどんなことでもよいので自分一人でできるプロジェクトを持ち、ゴール設定して少しずつ進めていくと、人生のアクセントになり、定年後にもつながる何かになるような気がします。

 

■ 今後の展望についてお聞かせください。

これから先は、同窓会理事と現代ビジネス研究所の研究に加えて、働き続けている女性をサポートしていきたいと考えています。企業の中でも幹部候補の女性は会社が育成をサポートしているので、そうではない中間層の女性や、シングルの女性たちを応援する活動をしていきたいと考えています。そのためにはWEBを立ち上げて、研究ノートをまとめ、これをベースに具体的な活動に結び付けていきたいと思います。

 

■ 最後に、働くということは貴女にとってどういう意味を持っていますか?なぜ、働いているのでしょうか?

社会貢献というよりも、社会とのつながりをもってそこで自分の役割を果たすこと、それが働くということだと思っています。働き続けることが私にとっては自立して自由に生きるための一つの手段だったと思います。

 

■ 編集後記

「外資系のラグジュアリブランド」という言葉がぴったりくる優雅な雰囲気をお持ちで、ガツガツしたところがない魅力的な先輩です。でもその優雅さとはうらはらに、「人に頼るのは嫌だ、自由に自立して生きていくために働いてきた」ときっぱりと語られる姿は清々しく、「自分の役割を果たす」という言葉に、これまで働いてきた自負のようなものも感じさせられました。(2017年12月16日)